まわりと差をつけるためにM&A業界入社前にやっておくべきこと1選

| Text: Shiraishi Kento

 M&A業界で内定をいただいた後、入社までにやるべきことはたくさんあります。会計の知識が全くなければ、簿記の勉強をするべきですし、M&Aに関する書籍を熟読することも必要です。しかしながら、それだけでは十分な準備と言えません。本記事では、成果を上げるためにやるべきおすすめの準備を1つご紹介させて頂きます。動画は以下リンクよりご覧いただけます。

解説動画:https://www.youtube.com/watch?v=lrnBZAuaw_E

スタートダッシュを切るためにやるべき準備

やるべき事はシンプルで「攻める業種を決めておく」事です。M&Aは様々な業界業種で行われます。他のコンサルタントと差別化をするためにも得意な業種や詳しい業種をつくっておくことをお勧めします。経営者は、自分たちの会社を理解してくれる(業界に詳しい)方に任せたいものです。手塩にかけて大切に育ててきた会社の譲渡を業界のことを知らない人には任せたくありません。その業界に何十年と精通している経営者たちと違和感なく話せるようになれば信頼も勝ち取りやすいので、それほどまでに詳しくなれると理想的です。

業界の選定方法は、知見のある業界や経営者とネットワークの多い業界、通常ルートではアクセスできない特殊なルートを持っている業界があれば、その業界を選べば良いと思います。一方、「そんな業界ないよ」という方が大多数だと思いますので、おすすめの選定方法を3つに分けてご紹介させて頂きます。

具体的な選定方法3選

〈おすすめの選び方〉

①M&Aに対して積極的な買手企業がいる

業界ではストロングバイヤーと言われる

判断基準は2つ

・M&Aの経験があるか

・投資余力があるか

M&Aの実績豊富で投資余力のある会社が多い業界を選ぶようにしましょう。方法は、業界大手のIRから投資余力のある会社が多い業界なのか判断することができますのでIR資料を読み込み選定していくと良いでしょう。

②売却理由がある(M&Aの訴求ポイントがある)

〈訴求ポイント〉

・経営者が高齢化している業界

・業界特性を活かしたアプローチ(M&Aにより収益構造を変化させやすく、売上及び利益の向上が明確)

・法改正のタイミング

経営者が高齢化している業界は訴求ポイントがシンプルです。承継問題の課題を深掘りし、M&Aによる解決方法を提案していくことが良いでしょう。一方で、業界特性を理解してアプローチする方法として、わかりやすい例を上げるとIT業界です。多重下請構造から脱却するため、二次請け、三次請けの会社がSIerの企業の傘下に入ることで中抜きをされていた利益が全てグループ間取引となり、残る利益が多くなります。利益が残れば、従業員に還元することも法人として新たに投資(採用や育成、新規事業など)にあてることもできます。

また、法改正のタイミングでM&Aを訴求する一例として、運送業界の2024年問題があげられます。具体的には、ドライバーの時間外労働に規制が入ることで、運送会社の売上・利益減少、ドライバーの所得減少による人材不足、荷主は支払う運賃の上昇が考えられます。つまり、企業は規模の拡大をして、効率化を図る、燃料コストの削減(為替のヘッジなど)を行うなど工夫をしなければ、生き残ることができません。これらの問題もあり、近年運送業界ではM&Aが活発化してきました。

業界を深掘りしていくと、様々な業界で無数の業界問題があります。業界課題を解決するために、訴求できるポイントがあるとM&Aの提案はオーナーの心に響くでしょう。売らなければいけない、または売るメリットを感じてもらえる業界を選べるとM&Aの成約実績は積み上がっていきますので、業界の深掘りが大切になってきます。

③M&Aに再現性がある

M&A仲介で成果を上げることを第一に考えるのであれば、再現性のある業界で腰を据えることをお勧めします。特許や技術獲得のためにM&Aを実施されることもありますが、次のM&Aに活かされづらいと考えます。

エリアの拡大や人材の獲得を目指したM&Aは再現性が大きく、特に同業同士のM&Aは何度も類似の案件が起こりやすいでしょう。例えば、建設業界や運送業界のようにエリアごとで事業を展開している業界(LPガスや建材の卸なども当てはまる)は、隣接地や空白地帯に進出したいが、自社単独では難しいので、パートナーになるような会社を探してM&Aでグループ入りしていただくなどです。

また、システム開発会社や人材派遣事業のように人材を確保するためにM&Aをされたい会社も多いです。売主・買主双方に人手不足なので、お互いの人材が補い合うような形をとって両者の経営課題を解決していくことを訴求しても良いでしょう。

まとめ

成果を上げるために入社前に行う準備として、「攻める業界を決めておく」。業界の選定方法は3つある。

M&Aに対して積極的な買手企業がいる

売却理由がある(M&Aの訴求ポイントがある)

M&Aに再現性がある

以上に当てはまる業界を探しながら、業界研究をすることでスタートダッシュを切れるコンサルタントになれるでしょう。

〈監修〉 株式会社M&A Enabler 代表取締役 白石健人 同志社大学理工学部卒業後、三菱UFJ信託銀行に入社。その後、2018年M&A仲介事業を行う株式会社fundbookに参画。 M&Aアドバイザーとして、上場・未上場、セルサイド、バイサイド共に幅広い業種において数十件のM&Aの成約を支援。 2023年に株式会社M&A Enablerを創業し、代表取締役に就任。

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