【徹底解説】M&Aコンサルタントの年収が高い理由

| Text: Shiraishi Kento

 この記事では、年収ランキングトップを走るM&A仲介会社のコンサルタントが日本で最も平均年収が高い理由を知ることができます。主に「市場・ビジネスモデル・報酬制度」の観点からご紹介しております。年収ランキングトップ […]

 この記事では、年収ランキングトップを走るM&A仲介会社のコンサルタントが日本で最も平均年収が高い理由を知ることができます。主に「市場・ビジネスモデル・報酬制度」の観点からご紹介しております。年収ランキングトップに名を連ねるM&A仲介会社ですが、なぜそんなにも高年収をもらえるのか。どのような仕組みになっているのか。M&A仲介会社が世の中に出している年収水準は本当なのか。私もM&A業界に入るまで懐疑的でした。しかし、実際、業界に飛び込み高い年収をいただける仕組みが理解できたので、本記事にまとめさせていただきます。動画も以下リンクからご覧いただけます。

解説動画:https://www.youtube.com/watch?v=ems86e_GscE

M&Aアドバイザーの年収構造

M&A業界の年収は、「固定年収+インセンティブ(成果報酬)」が多く、売上を上げれば報酬も増えるシンプルな構造になっています。

一般的な企業では実績のみなならず勤続年数や定性的な評価も加えられたうえで賞与の金額が決定します。一方、M&A仲介の場合は、自身の成果がそのままインセンティブに跳ね返ってきますので、数千万円、数億円の高い年収を得ている方々は主に実績に応じたインセンティブで稼いでいるのです。

保険会社の代理店やIFA(“Independent Financial Advisor”の略で、「独立系ファイナンシャルアドバイザー」)のように完全な成果主義ではありませんが、固定給を受け取り最低限の生活保障を得ながら、高い年収を狙える仕組みになっているのです。

高い年収になる理由がインセンティブであることがわかりましたが、具体的にインセンティブの決定方法はどのようなものがあるのでしょうか。企業によって報酬設計は様々ですが、基本は「売上×インセンティブ率」で支給額を決定する会社が多いです。

つまり、コンサルタントあたりの売上単価とインセンティブ率が高いことを証明できれば、高い年収を得られることが説明できるでしょう。

給与 = 固定給 + インセンティブ (売上×インセンティブ率)

◾️ 売上単価が高い理由

◾️インセンティブ率が高い理由

事実コンサルタント1人あたりの売上高は他の業界と比較しても高いですし、インセンティブ率もある理由があって高くなっています。以上2点を次のセクションでご説明します。

売上単価が高い理由

M&A仲介の売上は売主・買主からいただく手数料収入になりますが、お客様からいただく手数料単価が高いため売上単価が大きくなります。

上場会社の公開情報含めコンサルタント1人あたり1億円くらいの売上を上げていることが多く、原価の発生しないビジネスなので粗利で1億円近くあげられる業界はなかなか日本にはないと思います。(私の知っているコンサルタントには年間10億円ほど売上をあげている方もいらっしゃいます)

それだけ売上単価が大きくなる理由は、手数料単価の高さから説明できます。

手数料単価 = 譲渡対価(売買金額) × 手数料率

※各社異なるため一般的な計算式を例としてあげさせて頂きます

譲渡対価(売買金額)が大きくなる理由

会社よりも単価の大きい商材は基本的にないと考えられるためです(勿論、案件によっては会社より不動産の大きいなどありますが)。会社よりも資産価値があるものを考えても「国家」など国単位の組織くらいしかおそらく存在せず、売買できる資産の中では最も大きな商材を取り扱うことになります。そのため、売買金額すなわち譲渡対価が大きいと言えるのです。

更に、M&A仲介という仕組みをとることで、売主・買主双方から手数料をいただけるため、通常においても手数料単価が高いうえに2倍の手数料をいただける構造になっています。

手数料率が高くなる理由

手数料率が高い理由は、M&Aの仕事は複雑であるためです。儲かっている会社の多い不動産仲介は宅建業法により手数料率の上限が定められており、片側からいただける手数料はざっくり3%程度と言われております。一方、M&A仲介業界は企業の手数料設計や規模にもよりますが、売買価格の5%程度を片側からいただいているケースが多いです。つまりは、仲介事業において手数料率も比較的高い業界と言えるでしょう。

また、事業承継における後継者問題による市場の急拡大に対応できるコンサルタントの数が追いついていないこともあげられます。需要に対して供給が追いついていない状態では当然高い手数料を支払いコンサルタントに依頼される売主・買主が増えるわけです。

インセンティブ率が高い理由

インセンティブ率が高い理由はM&A仲介のビジネスモデルからコスト構造を考えると理解できます。M&A仲介のコスト構造は、人件費と交通費、一部バックオフィスの費用、広告費があげられます。一方、売上を上げるために何かを仕入れ、買ってくる必要はなく、原価で発生するものは交通費程度です。つまり、費用の多くを人件費に割り当てたとしても利益が残る収益構造になっており、給与あるいはインセンティブとして会社から従業員の方々に支給できるような業界になっているのです。

実際に上場しているM&A仲介会社の決算資料を見ると利益率は経常利益で50%近い会社が多いです。従業員に多くの給与を支給しているにも関わらず、会社にもお金が残っているところから、コストがかからないビジネスモデルであるため、健全な経営をしていていたとしても人件費比率を高められるのです。

まとめ

M&Aアドバイザーが高い年収をいただいている理由は、シンプルに考えると市場が成長しているので市況が良いだけではなく、難しい仕事なので1人あたりの売上が大きい。かつ、ビジネスモデル上、人件費の他にかかるコストが殆どないので健全な経営をしていても人件費率を高めることが可能になり、高い給与を支給することができるためです。

〈監修〉 株式会社M&A Enabler 代表取締役 白石健人 同志社大学理工学部卒業後、三菱UFJ信託銀行に入社。その後、2018年M&A仲介事業を行う株式会社fundbookに参画。M&Aアドバイザーとして、上場・未上場、セルサイド、バイサイド共に幅広い業種において数十件のM&Aの成約を支援。 2023年に株式会社M&A Enablerを創業し、代表取締役に就任。

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