M&A業界の市場規模〇〇兆円‼︎今後の成長性は!?

| Text: Shiraishi Kento

この記事は、M&A業界の市場規模と今後の成長性について解説しています。これまでM&Aにネガティブだった経営者もM&Aを活用した事業承継が浸透してきたことで業界の市場は拡大してきました。その中で、2025年問題と呼ばれる社会課題(後継者が決まっておらず70歳を超える経営者が245万人、その内127万社が後継者不在)から今後M&A業界の成長スピードや求められるであろう市場規模について中小企業のレポートをもとに解説していきます。本記事を読むことでM&A業界の可能性と社会意義を理解し、市場拡大に欠かせないポイントまで理解していただくことができます。動画も以下リンクからご覧いただけます。

解説動画:https://www.youtube.com/watch?v=1hqRexBFoiM

M&A業界の市場規模及び成長の可能性

※M&A仲介会社が得意とする中堅中小企業マーケットを前提に作成  後継者が決まっていない127万社のうち半数の60万社が黒字であり、黒字企業であっても廃業や清算の可能性があると言われています。

万が一、60万社の黒字企業が廃業や清算をしてしまった場合、日本のGDPにおける経済損失は22兆円、雇用は650万人の方が職を失ってしまいます。国内の生態系を維持するために事業承継は必須と言えるでしょう。

事業承継において親族や従業員の承継を行う企業もありますが、70歳を過ぎた経営者が後継者を決められていないことから、承継を悩む何かしらの理由があることでしょう。また、後継者の決まっていない企業は潜在的にM&Aをニーズを持った企業として考えられますので、事業承継型M&Aの市場推移から将来的な市場規模を割り出すことができると考えております。

潜在的なM&Aの市場規模

後継者不在による黒字廃業の会社は62万社。M&A仲介会社のクライアントになり得る企業は売上3億円を超えている会社が多く、中小企業庁の出しているデータによると全体の17%が売上3億円を超える会社になるため、62万社×17%で約10万社の企業が潜在的なM&Aのニーズがあると考えられます。

具体的な市場規模に換算すると、M&A仲介会社の平均単価が7,500万円(1成約あたり)になるため、事業承継だけでも潜在的には7.5兆円の市場規模があると考えられます。

10年かけて7.5兆円の事業承継問題をM&Aで解決した場合、年間7,500億円の市場があると想定されます。

また、事業承継型以外にも近年は若手経営者のM&Aや成長戦略型のM&A、また70歳未満の経営者のM&Aも存在し、アドバイザーをしていた感覚では3割ほどは事業承継型以外のM&Aであると考えています。このことから、おおよそ年間1兆円の市場規模が存在すると考えています。

つまり、「10年間で10兆円、年間1兆円規模の市場規模が存在」

M&A仲介業界の成長性

結論は、10年以上今の成長率のまま伸びていくことが期待されます。詳細について解説していきます。

 上場大手4社から成長率(前年比に対する4社合算売上高から計算)を割り出すと、コロナの影響を受けた直近3年でも20%以上2022年度は27%の成長をしている。

  中小企業庁が出しているコンサルタントの登録数を見ると業界に在籍している75%コンサルタントが上場大手4社で占められています。上場大手4社の売上高が760億円ほどであり、コンサルタントの増加が売上に比例すると考えるのであれば、2022年時点での市場規模は1,000億円(760億円÷75%)ほどと予想できます。

2022年の成長率27%で推移した場合、2025年問題が訪れる頃には2,000億円の市場規模になっていると考えられます。

10兆円の需要に応えるために必要な成長率

2025〜2035年まで28%の成長を維持してなんとか10兆円の市場が取れるレベル。仮に20%程度の成長率に留まるのであれば、2038年ごろまではかかってしまいます。そのため、2023年現在から考えると10年以上は今の高い成長率を維持しながら市場が拡大していくような業界と考えられるでしょう。

結果

◾️ 事業承継のニーズから市場を算定すると、10兆円規模の業界であり、年間1兆円規模の需要が存在

◾️ 10年以上は高い成長率のまま市場が拡大

買手企業の市況

M&Aを実行するうえで譲渡ニーズと合わせて重要な買い手のニーズについても高まる傾向にあります。次に、買収意欲が高まっている理由を3つご紹介させていただきます。

低金利で資金調達が行いやすい環境

M&A経験のある企業の増加

海外資本の参入

低金利が続く中、買収資金の調達も行いやすい環境が続いており、何より買収経験をもつ会社が増えていることがM&Aが増加する大きな理由にもなっています。 10年前は、M&Aをしたことがない会社が多く、知見やノウハウもありませんでした。買収にはリスクがつきものなので、懸念されることが多かったです。

一方、M&Aを経験した企業にはノウハウが蓄積され、特にM&Aを経験した担当者の流動かも進んでいる中、M&Aを中期経営計画の柱にする企業が急激に増加してきています。

譲渡をしたくても買収できる企業が少なかった過去とは異なり、買収経験があり買収意欲の高い企業が増えたことでM&A業界がより活性化していることもM&A市場には大きく影響しています。

M&A業界成長の鍵

M&A業界が成長するために必要なことは、「優秀なアドバイザーが増えること」です。

 売主様、買主様の間に入って条件の調整をしたり、各社に寄り添いパートナーになれる人材が必要。特に、売上3億円を超えるようなディールになるとアドバイザーを介さずM&Aを成立させることは難しいです。M&Aの専門家が介入し、リスクの把握や契約書の調整、お互いの意思を尊重しながらも落としどころを見つけていくことができるのは、第三者であるアドバイザーの役目です。倫理観があり優秀なアドバイザーが増えていくことが今後の業界には必要です。

まとめ

以上より記事のまとめです。

潜在的な市場規模は10兆円

成長率は30%でも10年以上は伸びる

業界の成長に優秀なアドバイザーが必要

大きな社会問題を解決するためにも優秀なアドバイザーが必須であり、業界に挑戦してくれる方が増えるように弊社ではM&A業界に特化した転職支援を今後も行なっていきます。

〈監修〉 株式会社M&A Enabler 代表取締役 白石健人 同志社大学理工学部卒業後、三菱UFJ信託銀行に入社。その後、2018年M&A仲介事業を行う株式会社fundbookに参画。 M&Aアドバイザーとして、上場・未上場、セルサイド、バイサイド共に幅広い業種において数十件のM&Aの成約を支援。 2023年に株式会社M&A Enablerを創業し、代表取締役に就任。

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M&A EnablerはM&A業界出身者が設立したM&A周辺領域で事業を展開する企業です。
転職支援サービスにおいてM&A仲介業界に強みを持ちながら、M&A関連業界専門の求人を取り扱っております。業界出身者かつ業界での周辺事業を行いながら転職支援をしている国内初の企業です。周辺領域で事業展開をしているからこそ保有している求人も多数あり、一般的な人材エージェントとは異なる視点で各社のご紹介もさせていただいております。また、求人企業および候補者の担当は同じコンサルタントが行うため、ミスマッチングを防ぎ、圧倒的な内定率の高さを誇ります。M&A業界にご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。

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